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相続権を失う恐ろしい行為!~相続欠格~

すみだ

こんにちは。

今日は相続欠格について見ていきましょう。

ユキマサ

相続人になれない場合があるらしいにゃぞ


相続は、大切な家族の財産が受け継がれる重要な手続きです。しかし、中には「相続欠格」という、相続人の資格を強制的に失う制度があるのをご存知でしょうか?

「相続欠格」と聞くと難しく感じるかもしれませんが、簡単に言うと「相続人としてふさわしくない行いをした場合に、自動的に相続権を失う」という、ちょっと怖いルールなんです。

この記事では、相続欠格がどんな行為で発生するのか、具体的な例を交えながら分かりやすく解説します。「まさか自分が…」とならないためにも、そしてもしもの時に慌てないためにも、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。


目次

相続欠格ってどんな制度?相続人から「失格」になること

まず、「相続欠格」がどんな制度なのか、その基本から見ていきましょう。

相続欠格とは、相続人が民法で定められた特定の「不正な行為」を行った場合に、裁判所の判断などを待つことなく、自動的に相続人としての資格を失う制度です。

つまり、「あなたはもう相続人ではありません」と、法律によって強制的に、その地位を奪われてしまうということです。これは、相続に関する公正さを保ち、被相続人(亡くなった方)の意思を尊重するための重要なルールなんですね。

ポイントは「自動的に失格」という点です。 後で詳しく解説する「相続廃除」とは異なり、家庭裁判所の手続きなどは不要で、特定の行為があった時点で相続人ではなくなります。


こんな行為は要注意!相続欠格になる「5つの条件」

では、具体的にどんな行為が相続欠格に該当するのでしょうか?民法では、以下の5つの行為を定めています。

  1. 故意に被相続人や同順位・先順位の相続人を死亡させたり、死亡させようとしたりして刑に処せられた者
    • 例: 財産目当てで被相続人(親など)を殺害し、有罪判決を受けた場合。
    • これは最も重い行為ですね。未遂であっても刑に処されれば欠格となります。
  2. 被相続人が殺害されたことを知りながらも告発・告訴しなかった者
    • 例: 被相続人が殺害されたことを知っていたにもかかわらず、警察などに通報しなかった場合。(ただし、その相続人に是非の判断ができないような幼い場合などは除かれます。)
    • 犯人を知っているのに黙っていた、というようなケースですね。
  3. 詐欺または脅迫によって被相続人が遺言をすること、撤回すること、取り消すこと、変更することを妨げた者
    • 例: 遺言書を書かせないように脅迫したり、無理やり遺言書を破棄させたりした場合。
    • 被相続人の自由な意思による遺言を妨害する行為です。
  4. 詐欺または脅迫によって被相続人に遺言をさせたり、撤回させたり、取り消させたり、変更させたりした者
    • 例: 「遺言を書かないとひどい目に遭わせるぞ」と脅して、自分に有利な遺言書を書かせた場合。
    • こちらも被相続人の自由な意思を尊重しない行為ですね。
  5. 遺言書を偽造したり、変造したり、破棄したり、隠したりした者
    • 例: 自分に都合が悪い遺言書を勝手に破り捨てたり、内容を書き換えたり、隠してしまったりした場合。
    • 遺言書の真正性を損なう行為は、相続に関する公正さを著しく害します。

これらの行為は、相続人としての信頼関係を根本から破壊し、社会的に許されないと判断されるものです。


相続欠格になるとどうなる?その後の影響

相続欠格に該当すると、以下のような影響が出てきます。

  • 相続権の喪失: 相続欠格者は、その相続において一切の相続権を失います。財産を相続することはできませんし、遺留分(最低限保障される相続分)も請求できません。
  • 遺贈を受ける権利の喪失: もし遺言書で財産を「遺贈する」と指定されていても、相続欠格者となった場合は、その遺贈を受ける権利も失います。
  • 代襲相続の発生: これが重要なポイントです。相続欠格者に子がいる場合、その子は代襲相続人となります。つまり、欠格者の子が代わりに相続人として財産を相続する権利を得るということです。
    • 【例】 父親が相続欠格になったとしても、その父親の子供(被相続人から見て孫)は、祖父母の財産を相続することができます。これは、子の責任を子孫に及ぼさないという考え方に基づいています。

相続欠格と間違いやすい「相続廃除」との違い

相続欠格とよく似た制度に「相続廃除(はいじょ)」があります。この二つは混同されやすいですが、明確な違いがあります。

項目相続欠格相続廃除
発生要因民法に定められた不正な行為(上記5つの条件)被相続人に対する虐待、重大な侮辱、著しい非行など
効力発生行為があった時点で自動的に発生家庭裁判所への申立てと審判によって発生
代襲相続発生する発生する
誰が手続き手続きは不要被相続人(または遺言執行者)が家庭裁判所に申立て
目的相続の公正さを守る被相続人の意思を尊重し、相続させたくない人を排除

簡単に言えば、相続欠格は「法律が自動的に判断する失格」で、相続廃除は「被相続人が裁判所に訴えて排除してもらう」制度、ということです。


まとめ:公正な相続のために知っておこう

「相続欠格」という制度は、一般の方にはあまり馴染みがないかもしれません。しかし、相続をめぐるトラブルや、残念ながら起こりうる不祥事から、相続の公正さを守るために非常に重要なルールです。

特に、遺言書の取り扱いや、相続人の間での不適切な行動には細心の注意を払いましょう。

もし、相続に関して不安な点がある場合や、相続欠格に該当する可能性があると感じた場合は、一人で悩まずに、ななほし行政書士事務所までご相談ください。正しい知識と適切な対応で、大切な家族の財産を円満に次世代へ引き継いでいきましょう。


すみだ

なかなか普通に生活していると相続欠格に出くわすことはないかもしれませんが、頭の片隅にでも置いておいてください。

それでは、また。

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