
こんにちは。
今回は「古物商許可が必要な場合」について解説します。
知らないうちに無許可営業に当たるケースもあるため、要チェックですよ!
近年、フリマアプリやネットオークションの普及により、個人でも気軽にモノの売買ができるようになりました。不要になったものを手放したり、掘り出し物を見つけたりと、非常に便利なサービスです。しかし、その「売買」が「ビジネス」の領域に入ると、実は「古物商許可」という行政の許可が必要になる場合があります。
この記事では、どのような場合に古物商許可が必要になるのか、具体的な例を交えながら分かりやすく解説します。「知らなかった」では済まされないルールですので、ぜひ最後までお読みいただき、ご自身の取引が該当するかどうかをご確認ください。
そもそも「古物」とは?
古物商許可の対象となる「古物」とは、一体どのような物品を指すのでしょうか。古物営業法では、「古物」を以下の3つのいずれかに該当するものと定めています。
- 一度使用された物品(中古品) これは最も分かりやすいでしょう。誰かがすでに使用したことのある物品、例えば中古の衣類、本、ゲームソフトなどが該当します。
- 新品であっても使用のために取引されたもの 「新品でも?」と思われるかもしれませんが、例えば店頭に展示されていただけの新品や、一度消費者の手に渡って返品された新品などもこれに該当します。
- 使用されていないが、使用のために取引されたもの(未使用品、デッドストックなど) これも少し分かりにくいかもしれません。例えば、売れ残って倉庫に保管されていた未使用の在庫品(デッドストック)なども、古物として扱われます。
つまり、衣類、本、ゲーム、ブランド品、家電、骨董品、自動車、バイクなど、私たちの身の回りにあるほとんどの物品が「古物」の対象となり得るのです。
ここが重要!古物商許可が必要となる「3つのケース」
古物商許可が必要となるのは、この「古物」を「営利目的」で扱う場合です。具体的には、以下の3つの行為が該当します。
- 古物を買い取って販売する場合 :これは最も典型的なケースです。リサイクルショップや古着店、中古車販売店などがこれに該当します。中古品を仕入れ、それに利益を上乗せして販売する行為です。 個人の方でも、フリマアプリなどで安価に古物を仕入れ、繰り返し高値で販売して利益を得ている場合、このケースに該当する可能性がありますのでご注意ください。
- 古物を交換する場合 :あまり一般的ではないかもしれませんが、古物と古物を交換し、その際に差額の金銭を受け取るようなケースも許可が必要です。例えば、価値の異なるレコードを交換し、その差額を金銭でやり取りする、といった場合が該当します。
- 古物をレンタルする場合 :中古のブランドバッグや着物などを顧客にレンタルし、使用料を受け取るビジネスも古物商許可が必要です。近年増えているモノのサブスクリプションサービスの中にも、この許可が必要なケースがあります。
また、「不特定の者との取引」という概念も重要です。友人間の物品売買など、特定の関係性の中での取引は対象外となることが多いですが、インターネットオークションやフリマアプリのように、誰が相手か分からない不特定多数の人との取引は、基本的にこのルールが適用されるとお考えください。
「許可が不要」なケースとは?
では、どのような場合に古物商許可なしで古物を売却できるのでしょうか。誤解されやすい「許可が不要なケース」を明確にご説明します。
- ご自身が使用していたものを売却する場合(不用品処分): 最も一般的なケースでしょう。ご自身が着なくなった服をフリマアプリで売ったり、使わなくなったゲームを売ったりするのは、純粋な不用品処分であり、許可は不要です。ポイントは「ご自身が使用していたもの」である点です。
- 海外で購入したものを国内で売却する場合 :旅行先で購入したお土産品や、海外の免税店で購入したブランド品を日本国内で売却する場合も、基本的には許可は不要です。ただし、ここで注意が必要なのは、「海外で安価に仕入れ、日本で営利目的で継続的に販売する」行為は、実質的に古物の買い付けと販売とみなされる可能性があるという点です。ビジネスとして行うのであれば、許可が必要になることもあります。
- 無償で引き取ったものを売却する場合: 友人から譲り受けたものや、廃棄物として出されていたものを拾って売却する場合も、ご自身で費用を払って買い取ったわけではないため、基本的には許可不要です。
- 古物商許可を持つ業者に売却する場合: 私たち個人がリサイクルショップに不用品を売却したり、中古車買い取り業者に自動車を売却したりするケースは、売却相手がすでに許可を持つ業者であるため、私たち自身が許可を持つ必要はありません。
ただし、これらのケースでも油断は禁物です。例えば、不用品処分と称していても、何度も、継続的に、利益を出すことを目的として同様の行為を繰り返している場合は、警察から「実質的に営利目的で事業を行っている」と判断され、許可が必要とみなされる可能性もありますのでご注意ください。
判断に迷ったらココをチェック!「継続性」と「営利性」
古物商許可が必要かどうかを判断する上で、特に重要となるのが「継続性」と「営利性」の二つの要素です。
- 継続性: これは、一時的な行為ではなく、繰り返し反復して利益を上げようとする目的があるか、という点です。年に一度だけ不用品を売却するのと、毎月何十個も古物を仕入れて販売するのとでは、その行為の意味合いが大きく異なります。
- 営利性: 文字通り、利益を得ることを目的としているか、という点です。安価に仕入れて高値で販売し、その差額で収益を得るという考えがあるならば、「営利性あり」と判断されます。
「では、月に何回売ったら許可が必要なの?」「いくら利益が出たら許可がいるの?」といった疑問をお持ちになるかもしれません。残念ながら、法律には明確な線引きがありません。 個々のケースに応じて、警察が「総合的に判断する」というのが実情です。
ただ、一般的には「月に〇回以上取引がある」「年間で〇〇円以上利益が出ている」といった目安が語られることもありますが、これらはあくまで目安であり、絶対的な基準ではないことをご承知おきください。
古物商許可なしで営業するとどうなる?
もし、古物商許可が必要であるにもかかわらず、許可を得ずに営業(無許可営業)を行った場合、それは古物営業法違反となります。
罰則は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金、あるいはその両方と、非常に重いものです。単に罰金で済むだけでなく、懲役刑が科される可能性もあるということを認識しておく必要があります。
さらに、一度逮捕されたり、罰則を受けたりすれば、社会的な信用を大きく失うことになります。今後の生活やキャリアにも深刻な影響が出る可能性もありますので、「たかがフリマアプリ」と安易に考えるのは非常に危険です。
まとめ:不安なあなたは、まずチェック!
今回の記事では、古物商許可が必要となるケースとそうでないケース、そしてその判断基準について解説しました。もし、この記事をお読みになり、少しでも「もしかして自分は当てはまるかもしれない」と感じたのであれば、安易に「大丈夫だろう」と自己判断することは避けてください。
まずは、ご自身の所在地を管轄する警察署の生活安全課に問い合わせてみるのが最も確実な方法です。もし、手続きが複雑に感じたり、さらに詳しく知りたい場合は、行政書士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
岡山県で古物商許可を検討中の方は、ななほし行政書士事務所までお気軽にご相談ください!
正しいルールを理解し、安心して古物の売買を行いましょう。



「継続性」と「営利性」は重要ですよ。
違反した場合の罰則もなかなか重いので注意してください。
それでは、また。