
こんにちは。
今日は先日のブログで少し触れた「代襲相続」について見ていきましょう。
「もしも」の時に慌てない!代襲相続のキホンを分かりやすく解説
相続は、いつか誰もが直面する大切なテーマです。でも、「代襲相続」という言葉を耳にしたことはありますか? もしも相続人になるはずだった人が、すでに亡くなっていたり、相続放棄をしていたりした場合に発生する、ちょっと複雑なルールなんです。
「難しそう…」と思うかもしれませんが、ご安心ください!この記事では、代襲相続の基本を図解を交えながら分かりやすく解説します。これさえ読めば、「もしも」の時に慌てず、適切な対応ができるようになりますよ。
そもそも「相続人」って誰? 基本をおさらい!
代襲相続を理解する前に、まずは「誰が相続人になるのか」という基本ルールを確認しておきましょう。民法では、亡くなった方(被相続人)の配偶者と、以下の順位の人が法定相続人となります。
- 常に相続人になる人:配偶者
- 亡くなった方に配偶者がいる場合、常に相続人となります。
- 第一順位:子(直系卑属)
- 亡くなった方の子どもが相続人になります。子どもが複数いる場合は全員が相続人です。
- もし子どもがすでに亡くなっている場合は、その子(被相続人から見ると孫)が相続人になります。これが「代襲相続」のポイントです!
- 第二順位:直系尊属(親、祖父母など)
- 第一順位の相続人(子)がいない場合に、亡くなった方の親や祖父母が相続人になります。
- 親と祖父母がいる場合は、より近い世代の親が優先されます。
- 第三順位:兄弟姉妹
- 第一順位と第二順位の相続人がいない場合に、亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。
代襲相続とは? 「相続人の代わりに相続する」ルール
では、本題の代襲相続について解説します。
代襲相続とは、本来相続人になるはずだった人が、相続開始時(被相続人が亡くなった時)にすでに亡くなっていたり、特定の理由で相続権を失っていたりした場合に、その人の子ども(孫やひ孫など)が代わりに相続人になる制度のことです。
【代襲相続のポイント】
- 誰が代襲する?
- 原則として、代襲される人(本来の相続人)の「子」が代襲相続人になります。つまり、被相続人から見ると「孫」「ひ孫」にあたります。
- どこまで代襲する?
- 子や孫が代襲相続する場合、その下の世代(ひ孫、玄孫)までどこまでも代襲が続きます。これを「再代襲(さいだいしゅう)」と呼びます。
- ただし、兄弟姉妹が代襲相続する場合の代襲は、一代限り(甥・姪まで)です。これについては後ほど詳しく解説します。
- どんな場合に代襲する?
- 本来の相続人が、
- 相続開始前に死亡していた場合
- 相続欠格に該当する場合(例:遺言書を偽造したなど、相続人としての資格を失う行為)
- 廃除された場合(被相続人からの虐待などにより、家庭裁判所の審判で相続権を失った場合)
- 注意! 本来の相続人が「相続放棄」をした場合は、代襲相続は発生しません。相続放棄は、最初から相続人ではなかったとみなされるためです。
- 本来の相続人が、
代襲相続の具体例を見てみよう【図解あり】
言葉だけではイメージしにくい代襲相続を、具体的な例で見ていきましょう。
例1:子がすでに亡くなっている場合
- 登場人物:父(被相続人)、長男(すでに死亡)、長男の子(孫)
- 父が亡くなった時、本来相続人になるはずの長男はすでに死亡していました。この場合、長男の子である孫が、長男の代わりに相続人になります。
- 被相続人(父)
- ├ 子(長男) ※死亡
- │ └ 孫(長男の子) ※代襲相続人
- └ 配偶者(母) ※相続人
例2:相続放棄と代襲相続の違い
- 登場人物:父(被相続人)、長男(相続放棄)、長男の子(孫)
- 父が亡くなった時、長男が相続放棄をしました。この場合、長男の子である孫は代襲相続人にはなりません。なぜなら、相続放棄は「最初から相続人ではなかった」とみなされるため、代襲すべき立場が存在しないからです。
- 被相続人(父)
- ├ 子(長男) ※相続放棄
- │ └ 孫(長男の子) ※代襲相続人にならない
- └ 配偶者(母) ※相続人
例3:兄弟姉妹の代襲相続は「一代限り」
- 登場人物:父(被相続人)、兄(すでに死亡)、兄の子(甥)、兄の孫(甥の子)
- 父に子がなく、親もすでに亡くなっていたため、兄弟姉妹である兄が本来の相続人でした。しかし兄もすでに死亡しています。この場合、兄の子である甥が代襲相続人になります。
- ポイント: 甥の子(兄の孫)は再代襲できません。兄弟姉妹の代襲相続は「甥・姪」までと決まっているからです。
- 被相続人(父)
- ├ 兄 ※死亡
- │ └ 甥 ※代襲相続人
- │ └ 甥の子 ※代襲相続人にならない
- └ 配偶者(母) ※相続人
代襲相続と相続分はどうなる?
代襲相続人が相続する場合、その相続分は、代襲された人(本来の相続人)が受け取るはずだった相続分と同じになります。
例えば、父、母、長男、次男という家族構成で、長男が亡くなっていて長男に子(孫)が2人いたとします。
- 本来の相続分:母1/2、長男1/4、次男1/4
- 代襲相続が発生した場合:母1/2、次男1/4、長男の孫2人で長男の相続分1/4を分け合う(孫1人あたり1/8ずつ)
このように、代襲相続人が複数いる場合は、本来の相続分を人数で等分することになります。
代襲相続でトラブルにならないために
代襲相続は、相続関係を複雑にすることがあります。特に、普段あまり交流のない親族が代襲相続人になるケースなどでは、トラブルに発展することもあります。
トラブルを避けるためには、以下の点が大切です。
- 戸籍謄本をしっかり確認する:相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本を取得し、相続関係図を作成することが非常に重要です。
- 専門家に相談する:相続関係が複雑な場合や、不安な点がある場合は、行政書士や司法書士、税理士といった相続の専門家に早めに相談することをおすすめします。
- 遺言書を作成する:被相続人が生前に遺言書を作成しておくことで、自身の意思を明確にし、残された家族間のトラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
代襲相続は、万が一の際に大切な家族の財産がスムーズに引き継がれるための重要な制度です。もしもの時に慌てないためにも、今回の記事で代襲相続の基本をぜひ理解しておいてくださいね。
相続は、家族の絆や未来に関わる大切な手続きです。少しでも疑問や不安があれば、一人で抱え込まずに信頼できる専門家に相談しましょう。
ななほし行政書士事務所では、相続のご相談を初回無料で承っております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。



「子」がいない場合、「親」ではなくて「孫」になるんですね。
重要ポイントです。
それでは、また。